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就学援助の「いくらまでが対象か」、載せているのは調べた134市区町村のうち65

公開日 2026-09-11

就学援助のお知らせをもらって、市のサイトを開きます。制度の説明が書いてあります。申請の用紙もダウンロードできます。締め切りも書いてあります。それでも、いちばん知りたいことがわかりません。うちの所得で、対象になるのか。

就学援助は、学用品費や給食費、修学旅行費などの一部を市区町村が援助する制度です。

134の市区町村(自治体)の公式サイトを1つずつ開いて、この「わからなさ」がどれくらい共通のものなのかを数えました。

調べたのは134市区町村です。まず1つの県を全部調べるために岐阜県の42市町村を、比べるために政令指定都市20市と東京23区の43を、それに全国から無作為に選んだ49市町村を足しました。

就学援助の「どのくらいの所得までが対象か」を公式サイトに載せていた市区町村は、134のうち65(48.5%)でした。政令指定都市20市と東京23区の43市区町村では、43のうち39(90.7%)。岐阜県の42市町村では、42のうち10(23.8%)。

同じ制度の、同じ疑問への答えです。政令市と23区では43のうち39が載せているのに、岐阜県では42のうち10しか載せていません。

2026年9月上旬時点の公式サイトを対象にしました。このサイトで全国1,730市区町村まで広げているのは学童の4項目だけで、就学援助・学区・保育所の空きは、この134市区町村で数えた数字です。

全国1,730市区町村のうちの134なので、お住まいの市区町村は入っていないかもしれません。入っていない場合にどうすればいいかは、記事の最後に書いています。

親が最初に知りたいのは「うちは対象か」だ

就学援助は、申請すれば誰でも受けられるわけではなく、所得の審査があります。

保護者が知りたい順番はこうなります。まず「うちは対象になるのか」。それから「いくらもらえるのか」「いつ申請するのか」。対象外なら、あとの2つは要りません。

公式サイトに載っている情報は、この順番と合っていません。申請方法を載せていた市区町村は134のうち109(81.3%)。所得の目安を載せていた市区町村は134のうち65。そして、申請の仕方は書いてあるのに自分が対象かどうかを判断する材料がない市区町村が、46ありました。

私は公立小学校で約10年、担任をしていました。就学援助のお知らせは、担任が事務室から手紙を受け取り、子どもに渡していました。

対象かどうかがわからないと、多くの人は申請しません。制度を知っていても「うちはたぶん対象外だろう」と考えて出しません。窓口に電話して所得を伝え、対象か尋ねるのは、それ自体がためらう行為だからです。

「例示だけ」の書き方が、誰を取りこぼすか

所得の目安を載せていなかった市区町村は、134のうち69。そのうち46は、申請の方法(窓口や提出の時期)は載せていました。手続きの案内はあるのに、自分が対象かどうかを確かめる材料だけがありません。目安を載せていない市区町村の多くは、対象者の条件が「市民税が非課税」「児童扶養手当を受けている」「生活保護が停止または廃止された」といった例示の列挙で書かれていて、金額も倍率も出てきません。

調べた134市区町村の内訳を示す積み上げ横棒グラフ。所得の目安を載せているのが65、目安は載せていないが申請方法は載せているのが46、目安も申請方法も載せていないのが23。
調べた134市区町村の内訳を示す積み上げ横棒グラフ。所得の目安を載せているのが65、目安は載せていないが申請方法は載せているのが46、目安も申請方法も載せていないのが23。

児童扶養手当は、ひとり親家庭などが受け取る手当で、多くの家庭がもらっている児童手当とは別のものです。

残る23市区町村は、目安も申請方法も載っていませんでした。就学援助のページ自体にたどり着けなかったか、「所得の状況により審査します」「家族構成や年齢により基準が異なります」という表現にとどまっていた市区町村です。

この書き方が間違っているわけではありません。列挙されている条件の筆頭はどこも市民税非課税で、実際に対象になる家庭は多くあります。困るのは、そこに当てはまらない家庭です。共働きで課税されていて、児童扶養手当も受けていません。それでも家計は苦しいのです。この家庭は、例示のリストのどこにも自分を見つけられません。そして「うちは違うんだな」と判断して、申請しません。

市区町村を責める話でもありません。基準額の表を載せると「この金額なら必ず通る」と受け取られ、審査で外れたときに苦情になります。「目安であり、世帯構成や年齢により変わります」と書き添えるところまで含めて手間がかかります。実際、所得の目安を載せていた65市区町村のほとんどが、その注記を入れています。江戸川区は「大体の目安であり、世帯構成・年齢等により変わる」と添えています。

書き方は2つある

所得の目安を載せていた65市区町村の書き方は、大きく2つに分かれます。金額の表で出すか、生活保護基準の倍率で書くかです。

書き方 書かれていること
世帯の人数別の金額表岐阜市「2人家族247万円」から始まる目安表
持ち家か借家かでも分ける東京都福生市2人世帯で持ち家約148万円・借家約225万円
生活保護基準の◯倍と書く土岐市「生活保護基準の需要額の1.5倍以内」
両方を出す中津川市本文に1.3倍未満、PDFに2人299万円・3人321万円・4人374万円

1つは、世帯人数別の金額表。 岐阜市は、2人家族247万円から始まる家族構成・年齢別の目安表を、ページの本文に直接載せています。PDFを開かなくても読めます。

もう1つは、生活保護基準の倍率。 生活保護基準額は、その家庭が生活保護を受けるとしたらいくらになるか、という最低限の生活費の額です。家族の人数や年齢、住んでいる地域によって変わるため、同じ「1.3倍」でも家庭ごとに金額が違います。

倍率だけでは、自分の家庭の生活保護基準額を知らないかぎり計算できません。それでも「1.3倍」と書いてあれば、窓口で聞くべきことが決まります。何も書いていない状態とは違います。

倍率は1.2倍から1.5倍までばらついています。認定の基準そのものが市区町村ごとに違うことは、公開されている数字からも読み取れます。だから、その市区町村の数字が書かれているかどうかで、保護者にわかることが変わります。

政令市と東京23区は43のうち39、岐阜県は42のうち10

134市区町村を3つのグループに分けて、所得の目安を載せている市区町村の数を数えると、こうなります。

調べた134市区町村を3つに分けて、就学援助の「所得の目安」を公式サイトに載せている市区町村の割合を並べた横棒グラフ。岐阜県は42のうち10、政令市と東京23区は43のうち39、全国から選んだ市区町村は49のうち16。
調べた134市区町村を3つに分けて、就学援助の「所得の目安」を公式サイトに載せている市区町村の割合を並べた横棒グラフ。岐阜県は42のうち10、政令市と東京23区は43のうち39、全国から選んだ市区町村は49のうち16。

政令市と東京23区では、載せていないほうが例外になります。43のうち4です。岐阜県では逆で、42のうち32が載せていません。

同じ県の中でも揃っていません。岐阜県の42市町村で所得の目安を載せていたのは10市でした。人口の多い市ばかりではなく、山県市(約2万4千人)や海津市(約3万1千人)も入っています。規模だけで決まってはいません。隣り合う市町村で、片方は金額表を出し、片方は出していません。

所得の目安を載せている65市区町村を見る

公開されると、何が変わるか

保護者は、窓口に電話しないままでも、申請するかどうかを自分で決められます。所得を口頭で伝える必要がありません。

学校は、「詳しくは市に聞いてください」ではなく「この表を見てください」と言えます。担任が家庭の事情に踏み込まずに済みます。

市区町村は、対象から外れる申請が減ります。同時に、本来対象なのに出していなかった家庭からの申請は増えます。支出は増える方向ですが、制度の目的からすれば正しい方向です。

このデータの限界

人の目でまだ全件は確かめていません。 判定は公式サイトとPDFの文面をもとに行っていて、134市区町村すべてを開き直したわけではありません。「見つからなかった」と「載せていない」は同じではなく、載せていないと数えた69市区町村には、ページにたどり着けていなかった分が含まれている可能性があります。

ページを見つけられなかった市町村があります。 全国から選んだ50市町村のうち1つは就学援助のページを見つけられず、判定できたのは49市町村です。

画像のPDFは読めません。 山梨市は就学援助の主な案内PDFが画像で、文字を取り出せませんでした(別の「入学前支給のご案内」PDFに世帯構成別の収入の目安表があったため、公開ありと数えています)。

金額は取得した時点のものです。 この記事の金額は2026年9月上旬に公式サイトに載っていたもので、年度で変わります。

全国に広げたのは学童の4項目だけです。 就学援助・学区・保育所の空きは、この134市区町村で数えたままです。就学援助の支給額や入学前支給の有無は、このサイトの各市区町村のページで見られます。

所得の目安が載っていない市区町村に住んでいるなら

所得の目安が公式サイトに載っていなくても、審査に使う基準そのものは市区町村の手元にあります。確かめ方は3つあります。

学校に聞く。 学校の事務室や担任に「就学援助の所得の基準の表はありますか」と尋ねます。お知らせの裏面や別紙に載っていることがあります。

教育委員会に聞く。 市区町村の教育委員会(学校のことを担当している課)に電話して、「◯人家族で、去年の所得が◯万円くらいです。就学援助の対象になりそうか教えてください」と尋ねます。どこまで答えてもらえるかは市区町村によって違うので、お住まいの市区町村でご確認ください。

迷ったら出す。 対象になるかどうかは、申請を受けてから市区町村が審査します。自分で「たぶん対象外だろう」と決めてしまうと、その審査が始まりません。

入学の前にまとめて支給する「入学前支給」を行う市区町村もあります。申請の時期は市区町村によって違うので、対象かどうかとあわせて確認してください。

(市区町村の方へ)表1枚か、1行の倍率

就学援助の所得の目安を書くのに、新しい調査は要りません。審査に使っている基準を、注記つきで1枚の表にするか、「生活保護基準の◯倍」と1行書くか。それだけです。政令市と東京23区の43市区町村のうち39が、現にそうしています。

この記事の数字は全国のまとめ調べて分かったことの数字と同じです。

お住まいの市区町村は、どこまで載せていますか

市区町村の名前から、学童・就学援助・学区・保育の空きが公式サイトに載っているかを見られます。

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