就学援助は年収いくらまで?目安を載せている市区町村は全国1,730のうち511
公開日 2026-09-11/2026-09-24 更新
就学援助のお知らせをもらって、市のサイトを開きます。制度の説明が書いてあります。申請の用紙もダウンロードできます。締め切りも書いてあります。それでも、いちばん知りたいことがわかりません。うちの所得で、対象になるのか。
選んだ都道府県の、市区町村ごとの一覧に移動します。都道府県の一覧へ / 市区町村名で探す(トップの検索)
先に答えを書きます。 対象になる所得の目安は、市区町村ごとに違います。目安を載せている市区町村では、「世帯の人数ごとの金額の表」か「生活保護基準の◯倍」の形で書かれています。共働きで市民税を払っている家庭でも、世帯の所得が目安より下なら対象になることがあります。お住まいの市区町村が目安を載せているかは、市区町村名で探すから見られます。載っていなくても、迷ったら申請してかまいません。対象かどうかは、申請を受けてから市区町村が審査します。
就学援助は、学用品費や給食費、修学旅行費などの一部を市区町村が援助する制度です。
全国1,730の市区町村(自治体)の公式サイトを1つずつ開いて、この「わからなさ」がどれくらい共通のものなのかを数えました。
就学援助の「どのくらいの所得までが対象か」を公式サイトに載せていた市区町村は、1,730のうち511(29.5%)でした。政令指定都市では、20のうち19(95.0%)。東京23区では、23のうち20(87.0%)。町村では、918のうち121(13.2%)です。
同じ制度の、同じ疑問への答えです。政令指定都市では20のうち19が載せているのに、町村では918のうち121しか載せていません。
調べたのは、全国の政令指定都市20・東京23区・中核市62・一般市707・町村918の、あわせて1,730市区町村です。2026年9月23日〜24日に、公式サイトを3回に分けて巡回しました。見つからなかった項目は、サイトの奥のページまでたどり直したり、就学援助のページのURLを探し直したりしています。集め方と条件は調べ方に書いています。
お住まいの市区町村が載せていない場合にどうすればいいかは、この記事の中ほどの「所得の目安が載っていない市区町村に住んでいるなら」に書いています。
親が最初に知りたいのは「うちは対象か」です
就学援助は、申請すれば誰でも受けられるわけではなく、所得の審査があります。
保護者が知りたい順番はこうなります。まず「うちは対象になるのか」。それから「いくらもらえるのか」「いつ申請するのか」。対象外なら、あとの2つは要りません。
公式サイトに載っている情報は、この順番と合っていません。申請方法を載せていた市区町村は1,730のうち1,128(65.2%)。所得の目安を載せていた市区町村は1,730のうち511。そして、申請の仕方は書いてあるのに自分が対象かどうかを判断する材料がない市区町村が、636ありました。
私は公立小学校で約10年、担任をしていました。就学援助のお知らせは、担任が事務室から手紙を受け取り、子どもに渡していました。
対象かどうかがわからないと、申請をためらう家庭が出てくると考えられます。制度を知っていても「うちはたぶん対象外だろう」と考えて出さない、ということが起こりえます。窓口に電話して所得を伝え、対象か尋ねること自体に、ためらいがあるからです。
「例示だけ」の書き方が、誰を取りこぼすか
所得の目安を載せていなかった市区町村は、1,730のうち1,219。そのうち636は、申請の方法(窓口や提出の時期)は載せていました。手続きの案内はあるのに、自分が対象かどうかを確かめる材料だけがありません。たとえば、ある市のページでは、対象が「生活保護を受けている」「生活保護が停止又は廃止になった」「児童扶養手当の支給を受けている」「保護者の職業が不安定で生活状況が悪い」「その他経済的理由により援助が必要」の5つで書かれていて、金額も倍率も出てきません。
児童扶養手当は、ひとり親家庭などが受け取る手当で、多くの家庭がもらっている児童手当とは別のものです。
残る583市区町村は、目安も申請方法も載っていませんでした。就学援助のページ自体にたどり着けなかったか、「所得の状況により審査します」「家族構成や年齢により基準が異なります」という表現にとどまっていた市区町村です。
この書き方が間違っているわけではありません。生活保護が止まった家庭や児童扶養手当を受けている家庭は、この書き方で自分が当てはまるとわかります。困るのは、そこに当てはまらない家庭です。共働きで課税されていて、児童扶養手当も受けていません。それでも家計は苦しいのです。この家庭は、例示のリストのどこにも自分を見つけられません。そして「うちは違うんだな」と判断して、申請をやめてしまうことがあると考えられます。
市区町村を責める話でもありません。基準額の表を載せると「この金額なら必ず通る」と受け取られ、審査で外れたときに苦情につながることも考えられます。「目安であり、世帯構成や年齢により変わります」と書き添えるところまで含めて手間がかかります。所得の目安を載せている市区町村でも、この注記を添えているところがあります。江戸川区は、目安の表に「大体の目安であり、世帯構成・年齢等により変わります」と添えています。
書き方は2つあります
所得の目安を載せていた511市区町村の書き方は、大きく2つに分かれます。金額の表で出すか、生活保護基準の倍率で書くかです。
| 書き方 | 例 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 世帯の人数別の金額表(所得で書く) | 北海道札幌市(政令指定都市) | 所得の限度額が2人世帯186万円、4人世帯252万円。給与収入の目安(2人277万円程度、4人369万円程度)も並べて載せている |
| 世帯の人数別の金額表(収入で書く) | 岩手県盛岡市(中核市) | 世帯の収入合計額のめやすが、母と子の2人で230万円程度、4人で330万円程度 |
| 持ち家か借家かでも分ける | 長野県上田市(一般市) | 収入等の合計額の目安が、母と子の2人で持家225万円、借家300万円(PDF) |
| 生活保護基準の◯倍と書く | 埼玉県東秩父村(村) | 世帯全員の前年の所得の合計が、生活保護基準で計算した需要額の1.3倍未満 |
| 両方を出す | 高知県芸西村(村) | 本文の条件に生活保護基準の1.3倍未満、PDFに所得額の目安(2人220万円程度、4人284万円程度) |
1つは、世帯人数別の金額表。 札幌市は、2人世帯から8人世帯までの所得の限度額を、ページの本文に表で載せています。PDFを開かなくても読めます。
表の金額が「所得」か「収入」かを先に確かめてください。 収入は、源泉徴収票の「支払金額」のような額面の金額です。所得は、そこから給与所得控除などを引いた額です。同じ家庭でも、所得は収入より少なくなります。札幌市の表では、2人世帯の所得の限度額186万円に対して、給与収入の目安は277万円程度です。所得で書かれた表を額面の年収と比べて、「うちは超えている」と思い込まないでください。上の表の札幌市と芸西村は「所得」、盛岡市と上田市は「収入」で書いています。ほかの市区町村の表を見るときも、見出しが「所得」か「収入」かを確かめてから比べてください。
もう1つは、生活保護基準の倍率。 生活保護基準額は、その家庭が生活保護を受けるとしたらいくらになるか、という最低限の生活費の額です。家族の人数や年齢、住んでいる地域によって変わるため、同じ「1.3倍」でも家庭ごとに金額が違います。
倍率だけでは、自分の家庭の生活保護基準額を知らないかぎり計算できません。それでも「1.3倍」と書いてあれば、窓口で聞くべきことが決まります。何も書いていない状態とは違います。
倍率は市区町村によって違い、1.2倍、1.3倍、1.5倍などがあります。認定の基準そのものが市区町村ごとに違うことは、公開されている数字からも読み取れます。隣の市の数字を見ても、自分の市区町村に当てはまるとは限りません。
所得の目安が載っていない市区町村に住んでいるなら
所得の目安が公式サイトに載っていなくても、審査に使う基準そのものは市区町村の手元にあります。確かめ方は3つあります。
学校に聞く。 学校の事務室や担任に「就学援助の所得の基準の表はありますか」と尋ねます。お知らせの裏面や別紙に載っていることがあります。
教育委員会に聞く。 市区町村の教育委員会(学校のことを担当している課)に電話して、「◯人家族で、去年の所得が◯万円くらいです。就学援助の対象になりそうか教えてください」と尋ねます。どこまで答えてもらえるかは市区町村によって違います。江戸川区は、問い合わせを受けても審査の前に世帯所得を計算することはできない、とページに書いています。
迷ったら出す。 対象になるかどうかは、申請を受けてから市区町村が審査します。自分で「たぶん対象外だろう」と決めてしまうと、その審査が始まりません。
入学の前にまとめて支給する「入学前支給」を行う市区町村もあります。申請の時期は市区町村によって違うので、対象かどうかとあわせて確認してください。申請の締切の例や、申請が要るかどうかは入学前支給はいつ?の記事にまとめています。
政令指定都市は20のうち19、町村は918のうち121
1,730市区町村を総務省の区分で5つに分けて、所得の目安を載せている市区町村の数を数えると、こうなります。
5つの区分は次のとおりです。町か村にお住まいなら「町村」です。市のうち、札幌市や横浜市のような政令指定都市が20市、人口20万人以上で国の指定を受けた「中核市」が62市あり、それ以外の市は「一般市」です。東京23区は「特別区」です。
- 政令指定都市の20市 → 19(95.0%)
- 特別区の23区 → 20(87.0%)
- 中核市の62市 → 43(69.4%)
- 一般市の707市 → 308(43.6%)
- 町村の918町村 → 121(13.2%)
政令指定都市と東京23区では、載せていないほうが例外です。町村では逆で、918のうち121しか載せていません。それでも、上の表の芸西村や東秩父村のように、村でも所得の目安を載せているところがあります。規模だけで決まってはいません。
所得の目安のほかの3項目でも、載せている割合がいちばん低いのは町村です。
| 区分 | 調べた数 | 支給額を載せている数 | 入学前支給の有無を載せている数 | 申請方法を載せている数 |
|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 20 | 17(85.0%) | 15(75.0%) | 20(100.0%) |
| 特別区 | 23 | 13(56.5%) | 17(73.9%) | 22(95.7%) |
| 中核市 | 62 | 42(67.7%) | 52(83.9%) | 60(96.8%) |
| 一般市 | 707 | 359(50.8%) | 397(56.2%) | 607(85.9%) |
| 町村 | 918 | 156(17.0%) | 177(19.3%) | 419(45.6%) |
全国で見ると、支給額を載せていた市区町村は1,730のうち587(33.9%)、入学前支給の有無を載せていたのは658(38.0%)でした。4項目(所得の目安・支給額・入学前支給・申請方法)をすべて載せていた市区町村は1,730のうち300。4項目のどれも見つからなかった市区町村は、1,730のうち550でした。
公開されると、何が変わるか
保護者は、窓口に電話しないままでも、申請するかどうかを自分で決められます。所得を口頭で伝える必要がありません。
学校は、「詳しくは市に聞いてください」ではなく「この表を見てください」と言えます。担任が家庭の事情に踏み込まずに済みます。
市区町村では、対象から外れる申請が減ると考えられます。同時に、本来対象なのに出していなかった家庭からの申請は増えるかもしれません。支出は増える方向ですが、制度の目的からすれば正しい方向です。
このデータの限界
人の目でまだ全件は確かめていません。 判定は公式サイトとPDFの文面をもとに行っていて、1,730市区町村すべてを人が開き直したわけではありません。「見つからなかった」と「載せていない」は同じではなく、載せていないと数えた1,219市区町村には、ページにたどり着けていなかった分が含まれている可能性があります。
3回に分けて巡回しても、届かなかったページがあります。 届かなかったのは、主に次のような場合です。JavaScriptやフレームで作られていて、プログラムでは中身を読み取れないサイト。robots.txt(プログラムによる巡回を断る設定)で巡回を断っているサイト。就学援助の案内が市区町村の公式サイトではなく、別のドメインの子育てサイトに置かれている場合。文字が入っていない、画像だけのPDF。そして、公式サイトに就学援助の案内自体がない場合です。
画像のPDFは読めません。 山梨市は就学援助の主な案内PDFが画像で、文字を取り出せませんでした(別の「入学前支給のご案内」PDFに世帯構成別の収入の目安表があったため、公開ありと数えています)。
金額は取得した時点のものです。 この記事の金額は2026年9月に公式サイトに載っていたもので、年度で変わります。
就学援助の支給額や入学前支給の有無、申請方法は、このサイトの各市区町村のページで見られます。
(市区町村の方へ)表1枚か、1行の倍率
就学援助の所得の目安を書くのに、新しい調査は要りません。審査に使っている基準を、注記つきで1枚の表にするか、「生活保護基準の◯倍」と1行書くか。それだけです。政令指定都市では20のうち19、東京23区では23のうち20が、現にそうしています。
選んだ都道府県の、市区町村ごとの一覧に移動します。都道府県の一覧へ / 市区町村名で探す(トップの検索)
この記事の数字は全国のまとめと調べて分かったことの数字と同じです。
お住まいの市区町村は、どこまで載せていますか
市区町村の名前から、学童・就学援助・学区・保育の空きが公式サイトに載っているかを見られます。